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「月夜の森の梟」を読んで

著者の小池真理子さんは、夫婦そろって直木作家。世間からは「おしどり夫婦」と呼ばれることが多かったご夫妻。一昨年、37年間連れ添った夫の藤田宣永(よしなが)さんが、がん闘病の末に亡くなります。

愛する人を失った深い喪失感と孤独感を美しい四季の移り変わりを通しながら静かに描かれたエッセイです。どのページにも、夫・藤田さんが居て、美しい森の情景の中に梟(ふくろう)の気配を感じさせます。

夫である藤田さんが亡くなる数日前に妻に言った言葉『年をとったお前を見たかった。見られないとわかると残念だな…』の言葉に胸が詰まり、嗚咽がこみあげてきました。いつか、そんな日が来るかもしれない。私には想像も出来ないし、想像したくもありません。

『私たち夫婦は、互いが互いの「かたわれ」だった…』夫を失い、「かたわれ」の半身として残されてしまった心情を筆者は『それにしても、さびしい。ただ、ただ、さみしくて、言葉が見つからない』と。いくら捜しても、姿や顔はもう見ることができない、居るべき人が居なくなってしまった譬えようもないつらさ、さみしさが心に届きます。

記憶を巡って書かれた文章は美しく、挿絵には存在感があます。特に横山智子さんが描いた本カバーの絵がすばらしい。「夜明けの森の風景です。どんなに今はつらくとも、夜は明け、未来に希望があることを意識して描きました」とありました。この本は大切な人を失った時、何も言わずにそっと寄り添ってくれる大切な存在になるかもしれません。今を大事に生きる、一日一日を大切に生きることをあらためて感じさせてくれる一書です。

著者:小池真理子
発行:朝日新聞出版

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